
「また2,400枚でエンディングか……」6号機初期のパチスロを打っていた人なら、誰しも一度はそのセリフを吐いたことがあるのではないでしょうか?
AT中盤からじわじわ積み上げた差枚がコンプリート手前で止まり、画面はリセット、通常に戻る。あの絶望感が、6号機全盛期のパチスロ離れを加速させたと言っても過言ではありません。
そんな業界の空気を一変させたのが、2022年7月に導入された6.5号機第一弾『パチスロ甲鉄城のカバネリ』、サミーが名付けたツラヌキSPECという仕様です。
ツラヌキスペックの仕組み|カバネリが変えた「有利区間の壁」

仕組みは「有利区間の頭をSTにする」。
原理はシンプルです。通常であれば、同一有利区間内で差枚が+2,400枚に達した瞬間、ゲームは強制リセットされ非有利区間へ戻ります。
ツラヌキスペックはその「次の有利区間の頭」を、継続率75%のST「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」に設定しました。
つまり2,400枚完走後、台は通常状態に落ちません。画面が切り替わった瞬間にはすでに新しい有利区間のSTが動いており、ボーナスを連打し続ける権利が再び目の前に積まれています。
【実戦談】一撃5,000枚オーバーの裏に隠されたカラクリ
ホールで初めてこれを目撃した夜のことは今でも覚えています。
隣の台で裏美馬STに入った方が、カバネリボーナスを積み上げ、エンディング画面が流れました。
「終わった」と思った瞬間、画面が切り替わり、そのままSTへ突入、再び出玉が増え始めました。

当時の実戦記録には「裏美馬から一撃5,000枚超え」という報告が相次いでいましたが、ああそういうことか!と腑に落ちました。
差枚2,400枚の制限は残ります。
けれど有利区間を「貫く」ことで、複数の区間をまたいで出玉を積み上げることが可能になりました。
カバネリというタイトルの演出キーワード「貫け」と掛け合わされ、業界全体がツラヌキスペックと呼ぶようになったのは、ある意味必然だったと言えるでしょう。
スマスロで「改」へ進化!『L北斗の拳』無想転生バトルの裏側
この仕組みをさらに進化させたのが、2023年4月に登場した『Lスマスロ北斗の拳』です。
スマスロにはゲーム数による有利区間上限がなく、差枚+2,400枚に達したときだけ有利区間がリセットされます。
北斗の拳ではそのタイミングを制御し、上位AT「無想転生バトル」の継続中に有利区間がリセットされると、継続率84%以上のバトルボーナスがそのまま再セットされる仕様になっています。見た目上は連チャンが続いているだけで、有利区間がどこで切れたかは画面から判別できません。
平均継続率94%という数値の裏には、有利区間リセットのたびに継続率が再設定されるこの仕組みが存在します。
「ツラヌキSPEC改」と呼ばれる所以です。
理論上は万枚・コンプリートまで止まらない連鎖
実際の実戦記録を見ると、無想転生バトルに入った状態から61連・7,606枚という事例もあります。見た目では「ただ連チャンしている」だけなのに、内部では差枚2,400枚のリセットが複数回走っているのです。
19,000枚のコンプリートに到達しない限り、理論上この連鎖は止まりません。
ツラヌキスペックがもたらした影|カニ歩きとハイエナ急増の理由

光だけでなく影もあります。ツラヌキスペック搭載機は「有利区間の頭が高確スタート」という構造上、朝一のリセット時も同様の恩恵が発生する台が多いです。
設定変更後の1ゲーム目からCZまたはSTが動いている状態になるため、開店直後に空いた台を次々渡り歩くカニ歩きが横行しました。
また、6.5号機(メダル機)にはゲーム数による有利区間天井も存在するため、規定ゲーム数に近い台を見計らって打ち始める有利区間天井ハイエナも問題になりました。

カニ歩き禁止の張り紙をホールで見るようになったのも、ちょうどカバネリ導入後からです。
ツラヌキスペックはプレイヤーの出玉欲求に応えた反面、新たな立ち回りの文化と、それに対応するホール側の制約も生み出してしまいました。
現在のスマスロ立ち回り術|「どこで狙うか」差枚数の把握が勝敗を分ける
現在のスマスロ主力機の大半は、なんらかの形でツラヌキ仕様を標準搭載しています。バジリスク絆2天膳、コードギアス 復活のルルーシュ、バキ……いずれも有利区間リセット後に上位ATへのCZやSTが発動する設計です。
ここまで普及すると、問われるのは「ツラヌキがあるか否か」ではなく、「今いる有利区間の差枚がどの位置にあり、リセット後の恩恵は何か」を把握しているかどうかになります。
差枚が現在どこまで積み上がっているかを見極め、2,400枚に近いタイミングで着席している台を引き継ぐ差枚狙いは、ツラヌキスペックを前提とした立ち回りとして広く認知されるようになりました。
差枚のカウントは同一有利区間内のみでリセットされます。「直前の人が1,800枚出た台だから残り600枚でリセット」という読みができるかどうかで、同じホールに座っていても結果は大きく変わってくるんです。
まとめ:「2,400枚の壁」を壊した開発者たちのアイデア
6号機が登場したとき、「2,400枚の壁」はパチスロの限界に見えましたが、ツラヌキスペックはその壁をルールの範囲内で設計の工夫によって突破しました。
仕組みを知った上で打つと、エンディング演出が「終わり」ではなく「次の始まり」に見えてきます。
その感覚こそが、スマスロ時代に万枚報告が増えた理由ではないかと思っています。






